AIとわたし
AIを使ったデザイン制作は、ここ数年でかなり身近になりました。
画像を作る。レイアウトを考える。Webサイトの構成を提案してもらう。コードを書く。
少し前までは人が一つずつ作業していたことを、今ではAIがかなりのところまで手伝ってくれます。
ただ、私は「最初から最後までAIだけでデザインする」という使い方には、今のところあまり賛成ではありません。
理由のひとつは、やはりAIで作ったデザインには独特の癖があるからです。
写真の色味や光の入り方、イラストのタッチ、全体の空気感。AI画像をある程度見慣れている人なら、「これはAIで作ったものだな」と感じることがあります。
書体も同じです。使われる文字の雰囲気やバリエーションに偏りがあり、デザインの仕事をしている人ほど気づきやすい部分だと思います。
AIデザインを普段あまり見ないお客様であれば、そこまで気にならないこともあるかもしれません。
それでも、デザインとして長く使うものを考えた場合、私はやはりそのまま完成品にすることには慎重です。
特に印刷物では、まだ扱いにくいと感じる場面があります。
必要なサイズや解像度で思い通りに画像を出してくれるとは限りませんし、一度作った画像を「ここだけ少し直したい」と思っても、その修正が意外と難しい。
同じプロンプトを使っても、まったく同じ画像が出るわけではありません。
Canvaなどに持っていって修正する方法もありますが、元のデザインをそのまま保ちながら修正できるとは限りません。
結果として、細かくパーツを書き出してIllustratorやPhotoshopで作り直した方が早い、ということもあります。
では、AI画像を使わない方がいいのかというと、私はそうは思っていません。
むしろ、AIだからこそ便利だと感じる場面はたくさんあります。
たとえば、かなりニッチな写真やイラストが必要なときです。
有料素材サイトを探しても、こちらが欲しい構図や雰囲気の素材がどうしても見つからないことがあります。
そういうときにAIで必要な画像を作れるのは、とても便利です。
実際に、制作費用との兼ね合いもあって、デザイン案そのものをAIで作成したWebサイトを制作したこともあります。
そのときは、サイト全体を一気に書き出すのではなく、セクションごとにAIでデザイン案を出し、それをひとつのサイトデザインとしてまとめていく形でした。
業種自体がかなりニッチで、しかもまだオープン前だったため、使用できる写真もありませんでした。そこで写真についてもAIで作成し、その都度クライアントに確認してもらいながら進めました。
テンプレートの構築やコーディングについては、いつもと同じように進めることができましたが、画像についてはほぼすべてAIです。
完成したサイトを見ると、やはり自分では「AIで作った画像だな」と感じる仕上がりにはなりました。
ただ、その一方で、制作時間は普段のおよそ3分の1ほど。時短という意味では、とても大きな効果がありました。
そして何より、クライアントにはとても喜んでいただけました。
その経験から、最近では「これはこれでひとつの方法なのかもしれない」と思うようにもなりました。
予算や納期、写真素材の有無など、案件によって条件はそれぞれ違います。すべての案件で同じ作り方をする必要はありません。
もちろん、クライアントには「実際の写真が撮れるようになったら、順次差し替えていきましょう」と提案しています。
AI画像を完成形として固定するのではなく、立ち上げ時の選択肢として使う。
そう考えると、AIによるデザインも使い方次第では十分アリなのだと思います。
ただし、その場合も「AIで作った画像をそのまま使えばいい」とは考えていません。
いかにAIっぽさを減らすか。
どこまで細かくプロンプトを書くか。
不自然なところをどう修正するか。
そして、最終的にサイトや印刷物のデザインになじませるにはどうするか。
そこは、やはり人の判断が必要だと思っています。
Web制作では、私はAIをもっと積極的に使っています。
デザインの方向性を探したいときに参考案を出してもらったり、「こういう動きをさせたい」と相談したり、必要なスクリプトを組んでもらったり。
自分で調べればできることでも、AIに探してもらうことでかなり時間を短縮できます。
フリーランスで仕事をしていると、この「時間を短縮できる」という点はとても大きいです。
一人でデザイン、コーディング、修正、管理まで行う以上、すべてを毎回ゼロから考えていては時間が足りません。
自分のCSSの書き方や、よく使うテンプレートの構造を覚えさせて、あとから修正しやすい形に組み直してもらうこともあります。
Web制作では、Codexにもかなり助けられています。
ただ、それも「全部AIにやってもらう」という感覚ではありません。
自分がどう作りたいかを決めて、そのためにAIを使う。
出てきたものを確認して、必要なら直す。
最終的に判断するのは自分です。
結局、AIは使うか使わないかではなく、どこで使うかが大事なのだと思います。
デザインを全部任せるのではなく、素材制作に使う。
調べものに使う。
コードを書く時間を短縮する。
アイデアを広げるために使う。
そして、人がやった方が早いところや、人が判断するべきところは自分でやる。
AIとデザインの付き合い方は、結局のところ「適材適所」。
今の私には、そのくらいの距離感がいちばん合っています。
次回は「AIと私のサイト」。
実際のWeb制作の中で、AIをどんな場面で使っているのか。
デザインのアイデア出し、画像制作、コーディング、修正作業まで、私なりのAIとの付き合い方を書いてみたいと思います。